阿川佐和子「介護ではうしろめたさをもつ」経験から生まれた言葉のちから

引用元:阿川佐和子Twitter

数々の著名人とのインタビューを通して『聞く力』やご両親の介護の経験から『看る力 アガワ流介護入門』を出版し、ベストセラーとなっている作家の阿川佐和子さん。

文章を書く仕事をしている阿川さんにとって「言葉は、すがる藁の一つ」で、これだというものに出会うと気持ちが楽になると話しています。

作家、エッセイストとして常に言葉と向き合って「言葉のちから」を実感している阿川さんのこれまで励まされてきた言葉や介護中の経験から生み出された言葉とは?

介護を経験している人はもちろんですが、そうでない方にもとても前向きになれる興味深い内容の言葉についてご紹介します。

スポンサーリンク

「介護ではうしろめたさをもつ」・・うしろめたいから優しくなれる

 

阿川さんは、父親の介護を数年した後は、認知症になった母親の介護と立て続けに両親の介護を経験しています。

こうした状況の中から生み出された言葉

「介護ではうしろめたさをもつ」

「気分転換をする時間や気持ちを発散する場所がなくなっていくことが介護者を追い詰める。たまには、ズルして自分の時間を作って、楽しむことをしながらリフレッシュしていいと私は思う。うしろめたさの分だけまた優しくできるのです。」

と話している阿川さんですが、

介護と更年期とが重なってパニックになったこともあったそうです。

「正直言えば実際の介護って報われないことだらけでろくなもんじゃない。

しかも多くのことが初体験で、これどうしたらいいの?ってあちこちぶつかりながら対応せざるを得ないんです。

正解がないんですよ。

100人いれば100人の介護があって、いろんなものを犠牲にして時間を作って一生懸命やっても「ありがとう」さえ言ってもらえなかったりするでしょう。

やりきれなくなってしまう。」

と、阿川さん独特の口調で介護論を語っています。

 

事実、介護を経験すると精神的に参ってしまいそうになります。

そこで、阿川さんが生み出したのが、「介護ではしろめたさを持つ」という言葉です。

やっと持てた休日。たまには好きなゴルフに行きたい。でもお母さんの様子を見に行かなければならない。

いつもそうではないけれど、阿川さんは仕事だ、と言ってゴルフに行ったそうです。

夕方に帰ってくるとお母さんに「疲れた顔しているけど、大丈夫?」

なんて気遣いの言葉をかけられたりすると胸が痛んだこともありました。

 

「ものすごく後ろめたい気持ちになる。

でもその分、母に優しくできる。

たまには自分を救うためにそのくらいのズルをしたっていい。介護では後ろめたさをもっていいと開き直りましょうよ。」

 

体験をした人から生み出された言葉は、とても説得力がありますね。

スポンサーリンク

「箸休め」・・君がいないと寂しい。といわれる人になりたい!

 

30代頃からテレビに出たり文章を書くようになった阿川さんですが、それは、有名作家である父親の名のもと、自分で志願して入った世界というよりその場しのぎのような生き方に思えて気が引けていたそうです。

40歳目前になって出会ったのが、三宮麻由子さんが書いた『鳥が教えてくれた空』という本の中の「箸休め」という言葉でした。

 

幼い頃に失明になった三宮麻由子さんは、健常者のように社会に役に立つことが出来ないかもしれない自分の存在する意味について考えていました。

ある日、母親が買ってきた小鳥がきっかけで考え方を変えます。

小鳥の鳴き声から見えない風景が感じられるようになって、鳴き方に意味があることに気づき、か弱い小鳥にも力強い生き物とは違った存在に思いを寄せるようになります。

小鳥は神様の箸休めではないかと。

「箸休めは、主菜などに対して漬物などのちょこっとした小皿。この言葉が今でもひとつの支えになっています。

私も箸休めでいいと思えたから。別に大したことをするわけではない。けど、いないと寂しいくらいの存在になれたら十分幸せではないかなって。

美味しい箸休めかどうかは別の問題ですけど。」

 

中高年独身女性のスターである阿川佐和子さん。

63歳で結婚してますます輝いている阿川さんは、箸休めどころではないですよね。

歯に衣着せぬ物言いからはイメージできなかったのですが、どこまでも謙虚でいる生き方が、男女問わず多くの方から支持されている理由ではないでしょうか。

スポンサーリンク

「いつも喜んでいなさい。」・・聖書のことば

 

中学・高校をキリスト教系の学校に通っていた阿川さんですが、高3のとき座右の銘を決めるという課題で出会った言葉です。

 

「いつも喜んでいなさい。」

当時は、深く考えもせず決めた言葉ですが、年齢を重ねるにしたがってこれはいい言葉だと実感するようになります。

 

両親の介護を続けていると、

「たとえ自分が不本意な場にいたとしても、笑えることや喜べることを何でもいいから探そう。」

介護中でもその言葉は力になったそうです。

 

「母は、明るいぼけ老人なので見方を変えたら笑えるんです。

くだらないことを笑っていると、長生きすれば病気にもなるし、認知症の期間が長くなるのも当たり前だと思える。そう考えると救われるんです。」

 

どこまでもポジティブな考え方で、阿川さんは介護中でもこの言葉の通り過ごしていたのですね。

さらりと話していますが、実践するとなると簡単ではないと思います。

でも、阿川さんはそれができたのでしょう。

自分は「いつも喜んでいる」

「介護ではうしろめたさをもつ」という言葉も自分を救うための行動から生まれた言葉ですから。

 

スポンサーリンク

今日の気づき

 

今回ご紹介したのは阿川さんが出会った3つの言葉でしたが、どれも阿川さんの人柄が表れている言葉ともいえますね。

 

「介護ではうしろめたさをもつ」・たまには自分を救うためにもズルしていい。

は、うしろめたさを持つことで自分が救われるのなら全然OKと言えるようになりたいですよね。

 

「箸休め」・主役ではないけれど、脇役がいないと寂しいといわれるだけでも幸せ。

そう思える生き方をすると何事も自然に振る舞えそうです。

変なプレッシャーにまどわされることもなく、今の自分を謙虚に生きられそうですものね。

 

「いつも喜んでいなさい。」・どんな状況でも楽しみ、喜びなさい。

という聖書の教えです。

簡単にできそうですが、50歳を過ぎても思うように実践できません (泣

でも、自分を大切に思うのであればそうせざる得なくなるでしょうね。

 

現在介護しているという方も、またそうでない方も、阿川さんのように、何か気になる言葉があれば座右の銘として持っていると、日常の困難から救われるのではないかと思います。

 

出典:ゆうゆう2018年12月号

スポンサーリンク